白杖(はくじょう)のこと

白杖 視覚障害

白い杖「白杖」と書いて、「はくじょう」と読みます。

今まで視覚障害に縁がなかった人は、白杖=見えない(=全盲の)人という印象があるかも知れません。

私自身そういう認識がなんとなくあり、自分が見えにくくなって困り事や危険が増えてきた時も、

「白杖があればもう少し安全に外出できそうだけど、果たして自分が持って良い物だろうか」

と迷いがありました。

しかし、白状は全盲の人だけが持つ物ではなく、見えにくい人も使う物なのだと知り、少しドキドキしながら購入し、使い始めました。

ここでは白状に関するあれこれを書いてみたいと思います。

専門知識のない、一ユーザーとしての話であることをご了承ください。

見えない人も、見えにくい人も白杖を使う

 白杖を使うにあたって、何かテストや資格や診断書が要るわけではありません。

法律で述べられているのは、道路交通法の

目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。

くらいではないでしょうか。

つまりは「目が見えないものに準ずる者」=ロービジョンも、道路を通行する時は杖を持ちなさいよ、という感じですね。

世間の一部では、白杖=全盲という思い込みから、

「白杖を持ってる人がスマホ画面を見ていた!インチキでは?」とか

「白杖を持っている人が水溜りを避けた!インチキでは?」とかの炎上も過去にあったみたいですが、どちらもインチキでなく普通にありうることです。

かくいう私も露骨に嫌な体験をしたことがあります。

以下のページでぶちまけているので、気が向いたら見てみてください。

見えない」ことへの嫌な出来事2つ|ロービジョンまめちらノート

白杖は「舗装具」として補助を受けられる

視覚障害の認定を受けた人は、補装具費支給制度を利用して1割程度の価格で白杖を購入できるようです。

「ようです」と書いたのは、私はその制度を利用した経験がなく、すべて自費で購入した経験しかないからです。

なぜ制度を利用しなかったかというと、障害認定と日常生活用具の申請の際に、福祉課でものすごく嫌な目に遭ったので、二度と行きたくなくなったからです。

のちに他の障害持ちの人にこの話をしたら、

「それこそ奴ら(福祉課職員)の思う壺だ」

と言われました。

嫌な思いをさせて、支給だの受給だのさせないようにしてるのだと。

ああなるほどその通りだと腑に落ちましたが、本来は障害者にとって必要な物であり、権利なので、皆さんは負けずに申請してみてください。

もちろん良い職員さんもたくさんいるはずです。知らんけど。

白杖の種類

白杖は大きく分けると、単独歩行用のものと、周囲への周知を目的としたシンボルケーンとに分かれます。

そしてその形状は大きく分けて以下の3種類があります。

・直杖(1本の棒のような形)

・折りたたみ杖(カクカク折りたたんで小さくできる杖)

・スライド式杖(引き伸ばして長さ調節できる)

また、視覚障害の他に片麻痺や痛みがある人のための、体重を掛けられるタイプ(持ち手がよくある杖のようなT字型)もあります。

頑丈なのはもちろん直杖ですが、折りたたみ式は小さくたたんでバッグにしまうことも出来るので便利です。

ちなみに私は折りたたみ式以外は購入した経験がありません。

大事な石突(チップ)

白杖自体が大事なのはもちろんですが、石突(チップ)もとても重要です。

杖だけ買ったままの状態で歩くと、杖によってはアスファルトの凸凹に杖の先が引っかかって、とても使いにくいです。

石突には、杖にピッタリ固定されているもの、回転するもの、弾力性に富んだもの、石突本体が動く物などがあります。

杖も石突もメーカーが複数あり、対応するものがそれぞれ異なるので注意します。

歩行訓練を受けるという手も

視覚障害者の生活訓練の一環として歩行訓練があります。

お住まいの地域名と「白杖 歩行訓練」などで検索したり、お住まいの地域名と「スマートサイト」で検索して出てきた情報を見るなどして見つけられるかも知れません。

ちなみに著者は歩行訓練を一度も受けたことがなく自己流ですが、専門家に一発で「自己流」だと見破られました(汗)

経験から…弱視でもしっかりした杖を

ずっとずっと前、少しずつ見えにくくなり始めた頃のこと。

視覚障害関連のイベントに出かけ、日本点字図書館のブースに白杖があったので見てみたんです。

そしたらそこにいた人が

「あなた見えるでしょ。必要ないよ」と。

でも段差が見えなくて躓いたり転んだりするし、信号の色も見えなくなって来てたのでそれを言うと

「ならシンボルケーンだね。それで十分」

みたいに言われたんです。

その経験から「ああ、全盲でもないのにちゃんとした白杖を使っちゃいけないんだ」と思うようになりました。

だけどその後もどんどん視力低下は進み、危ないことも困ったこともたくさん。

言われたとおりの「シンボルケーン」とやらを買ってみたけど、ひと突きひと突きがアスファルトの凸凹に引っかかって、とても歩けたものではありませんでした。

それでネットで出会った白杖の先輩たちに相談してみたら、「ちゃんとした白杖を持つべき!」というアドバイスを頂き、それに背中を押されて勇気を持って買ったら…

歩きやすい!持ちやすい!安定感と安心感がある!

と驚きました。

最初からこれを持つべきでした。

シンボルケーンなんて、本当にシンボルとしてしか役立たない。

あの職員はなぜあんなことを言ったのか?

見えなくて大変な方達を多く見て来て、私のような人間はまだまだ甘えてるとでも思われたのでしょうか。

出会って数秒しか経ってない、何も知らない相手に対して、よくもまあ無責任なことを言ってくれたものだとしばらく嫌な気持ちが残りました。

[結論1]知識しかない部外者より、体験している当事者のアドバイスの方が正しい。

[結論2]ロービジョン(弱視)でも歩行に危険や不安がある人は、しっかりした単独歩行用の杖を最初から買うべき!

白杖を使い始めてよかったこと

だらだらと長く書いてしまいましたが、そろそろ終わりにしようと思います。

白杖を持ち始めて良かったことを挙げます。

・段差を察知し、躓いたり転んだりする回数が減った

・道端の植え込みに足を踏み入れる間違いが減った

・駅のホームを歩くのが凄く怖かったが、点字ブロックの上を堂々と歩けるようになり、安全になった

・駅の階段などで、手すりを堂々と使えるようになった

・時々駅のエレベーターを使うのに、白い目で見られなくなった(気がする)

・ルーペなどで覗き込む怪しい行動の理由を察してもらえるようになった(気がする)

・足元が不安定な場所でまごついても、許してもらえるようになった(気がする)

・他人の盲導犬が私を見てくれるようになった(嬉しい&ワンコすごい!)

以上です。

見えにくくて困ってる人、白杖が気になりつつ一歩を踏み出せない人、白杖を持つことを検討してみてください。

安全に歩くことは自分のためだけでなく、周りの人の安全を守ることにもなります。

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