「日常生活用具給付等事業」というものがありまして、厚生労働省のサイトによると
“障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により、福祉の増進に資することを目的とした事業である。”
というものらしいです。
給付される用具の種類などは市区町村によって異なり、審査も費用負担も市区町村が行います。
具体的にどのような品目があるのか、東京港区を例にして見てみましょうか。
日常生活用具の給付(視覚障害) 港区の例
*成人の例を引用しています。
正確な情報は公式のサイトをご覧ください。
・点字ディスプレイ…2級以上 ・音響案内装置…1級。2級は送信機のみ。 ・音声ICタグレコーダー…2級以上 ・音声式体温計…2級以上 ・活字文章読み上げ装置…2級以上 ・ポータブルレコーダー…2級以上 ・時計(触読式/音声式)…2級以上 ・点字タイプライター…2級以上で就労しているかその見込みがある人限定 ・電磁調理器…2級以上で世帯で必要と認められる場合限定 ・体重計(音声式など)…2級以上 ・視覚障害者支援具…視覚障害に関わる障害があるもの ・拡大読書器…本装置により文字などを読むことが可能になる者 ・情報・通信支援用具…視覚に関わる障害があるもの ・大活字図書…視覚障害者で必要と認められるもの ・DAISY図書…視覚障害者で必要と認められるもの ・点字器・視覚障害に関わる障害があるもの ・点字図書…主に情報の入手を点字によっているもの
以上です。すごい量ですね!
そしてほとんどは視覚障害2級以上が対象です。
(市区町村によって内容が異なるので、これはあくまでも一例として見てください)
3級以下でも給付してもらえる物を太字にしてまとめてみましたが、この中で私は拡大読書器の給付の申請をしたことがあります。
その体験を書いてみようと思います。
私の拡大読書器の給付申請体験
上に挙げたように、さまざまな給付が受けられるのは2級と1級のみ。
だから視覚障害は障害者認定の申請をしても、あまりメリットが無い…という医師がいたくらいですが、私は当時何よりも拡大読書器が欲しかったんです。
さて、日常生活用具の申請をするのに必要な物は、
・障害者手帳 ・日常生活用具費支給申請書 ・希望する用具の見積書
などになります。
私の場合は都内の大きなロービジョンルームの予約をして訪ね、そこで目星をつけていた機器を中心に見せてもらったり説明を聞かせてもらったりして機種を決定し、見積書を書いてもらいました。
そして障害福祉課に貰いに行ったら…
私「通常の大きさの文字が見えなくなったので、拡大読書器の給付申請をしたいのですが」
職員「字が見えないのなら、ご家族に読んでもらってはどうですか?」
私(ガーン)
…これ、ものすごくショックな出来事でした。
当時はだんだんと目が見えなくなっていき、仕事の継続も難しくなったので休業ということになり、これから先どうやって生きていったら良いんだろうと不安でいっぱいだった日々。
病気に関する友人知人は出来たけれど、”視覚障害”という未知の世界に一人ぼっちで足を踏み入れかけていた時でした。
そんな中で知った拡大読書器という存在は、一つの明るい光だったのですが
職員「字が見えないのなら、ご家族に読んでもらってはどうですか?」
と言われて絶望的な気分になりました。
それでも申請書類を提出したのですが、審査結果の通知が来るまで不安でいっぱいでした。
結局、普通に審査を通ったんです。
他の時も福祉課で嫌な思いをしたし、ずっと後に知り合った人も同じ福祉課でひどいことを言われたそうで。
そういえば生活保護などは職員が「とにかく受け付けないぞ」という拒絶の姿勢で応対する(新たな受給者を作らないことが正義)みたいな話をよく聞きますが、福祉課職員も同じスタンスなのかなと感じました。
場所により、人によるのかも知れませんが…
でも、気の弱い人だったらあの一言で諦めて泣き寝入りになるかも知れません。
やはり何も知りもしない職員の独断でのあんな発言は許せない思いです。
経験から学んだ教訓
当時は怒りではなく悲しさと不安ばかりで、仲間に共感されたり励まされたりして、どうにか気持ちを保てました。
が時間が経って知識を得るごとに当時の対応に腹が立ち(笑)、あらゆる機会でこの話を披露するようになりました。
ある時、拡大読書器の会社の方にこの話をしたら
「今度同じような機会があったら、『欲しいのですが』という相談スタイルではなく、見積書など揃えた状態で『お願いします』という姿勢で行くと良いかも」
とアドバイスしていただけました。
なるほど!
相談の姿勢で臨んだら、敵は断る方向で応戦してくるわけです。
そもそも、こちらの病気も障害も何も知らない一介の職員に相談なんておかしいですよね。
もうひとつ、この件以外にも本当に嫌な思いをしたので福祉課に行くこと自体が怖くトラウマなのですが、それでも行く必要があるときはボイスレコーダーを忍ばせて行くことにしました。
ひどいことを言われた場合の証拠に出来るよう、だからもし酷いことを言われても負けないぞというお守り代わりでもあります。
結局、その嫌な件があった数年後に同じ福祉課を訪れた時は、ごく普通の職員さんがごく普通に対応してくれて、なんの問題もなく、気持ちよく頭を下げて帰ってこれたんですけどね。
後半、ほぼただの愚痴になってしまいましたが、こういう申請で否定的なことを言われたり嫌な思いをさせられたりの話はちらほら聞いたことがあります。
たぶん福祉課職員さんの応対も年々良くなってきてるだろうと思いますが、もし私と同じように辛い目にあった人がいたら、負けずに諦めずに自分を信じて勇気をもってほしいです。
今ではSNSで色々な人のアドバイスも聞けますしね。
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