サイトワールド(Sight World)2019に行って来ました

視覚障害

サイトワールドという視覚障害者を対象にしたイベントに出掛けて来ました。
昨年に続き、2度目の訪問です。

公式ホームページにある
ふれてみよう! 日常サポートから最先端テクノロジーまで
の言葉の通り、様々な最先端技術や近未来に実現しそうな素晴らしいバリアフリー、また日々の生活に
便利なグッズその他が一同に集まった、とても大きなイベントです。

2019年は、11月1日(金)、2日(土)、3日(日)の開催で、私は金曜と土曜に行きました。
2度目なので昨年のような驚きと興奮はありませんでしたが、記憶を頼りにレポートしておこうと思います。

サイトワールド 開催地

毎年同じ場所で開催されているようです。
東京都墨田区の錦糸町駅前のマルイの8・9階。 この8・9階は「すみだ産業会館サンライズホール」というらしく、ここでの開催になります。

錦糸町駅は、JR総武線と地下鉄半蔵門線。
ありがたいことに大勢のボランティアさんが案内のために待ち受けてくれているのですが、時間によっては人手が足りないので、やはり自分自身で行けるように事前準備をしっかりしておくのが良いと思います。
私の場合は「錦糸町マルイ 地図」のキーワードで画像検索したり、
グーグルで「錦糸町」のキーワードで検索、「地図」を選んでグーグルマップを表示し、さらにストリートビューにすると現地の写真が360度で見れるので、なんとなく感覚をつかんでおいたりなどの準備をしておきました。
また、サイトワールド 公式ページには、言葉による道案内もあるので、とても参考になります。

だいたい、JR錦糸町の(おそらく)出口を背にして、大きな道路をはさんだ場所にマルイがある(と思う)のですが、サイトワールド会場へのエレベーターは、マルイ正面の左端の方にあります。

会場はこんな感じ

サイトワールド会場地図

8階が45団体の出展ブース。(上画像はそのパンフレットでの案内)
9階がセミナーや体験会などの会場となっています。
昨年も同様でした。

私はまず9階のセミナーに参加するつもりだったのですが、それでもまずは8階で受付をする必要があるようです。
受付と言っても、パンフレット(墨字or点字)を頂いて、首から下げるカードをもらうだけなので、手間はかかりません(大勢参加者がいるので、並びますが)

8階でも9階でも、ボランティアの方が方々にいらっしゃって、良く声を掛けてくれるのが有り難かったです。
参加者はガイドさん等と一緒に来ている人が多かったのですが、一人で来ている白杖利用者に特に気をつけて声を掛けてくれているようです。

8階会場入り口の側には、カレー屋さんもありました。
私は辛いのが苦手なので残念ながら入店しませんでしたが、美味しそうな香りが常に漂っていました。

セミナー1:ワークショップ ICTを活用した視覚障害者移動支援システムの社会実装

まず最初に聴講したセミナーです。
昨年の同セミナーで初めてこの活動を知り、偉く感動したものでした。
見えなくても、安全に単独で行きたいところに出かけられる。
そんな世の中を実現しようと、多くの企業や団体が研究開発を進めています。まさに夢のような話です。
願わくば寿命を終える前に、その世の中を体験してみたいものですが、実現するのはいつのことやら…?

セミナー2:今更ですが歩行訓練を知るシンポジウム

「歩行訓練」って、名前は聞いたことがあるけど、受けたことがありません。
むしろ、受けたことがある人は一体どういうツテで受けることになったのか、疑問です。
大学病院ではかなり視力が落ちても、白杖の話も障害者手帳取得の話もされませんでした。
自分から聞いてようやく手続きをしても、市の福祉課も嫌味は言っても情報は与えない、という対応だったし。
だからこのセミナーは嬉しかったです。

歩行訓練を教える側と受けた側、複数の方々のお話を聞くことが出来ました。
そして一番知りたかった、「どこに問い合わせれば歩行訓練を受けられるのか?」ということについては、具体的な問い合わせ先は言及されませんでしたが、「スマートサイト」というヒントを教えてもらえました。
私は今回初めて知った言葉でしたが、見えなく・見えにくくなって色々困難を感じている人たちに、各分野の相談窓口を紹介する案内のようなもののようです。
なるほど、「スマートサイト」で検索したら、有用そうな情報がたくさん出てきました。
これを知っただけでも大きな収穫だったかも。

セミナー3:事務系職種の現状とこれから ー 問題提起と意見交換 ーパートⅡ

会場が狭いせいもあるかも知れませんが、定員オーバーの激混みでした。
途中までしか聞いていません。
視覚障害になる前から、事務職も一般企業就職もしていなかった私にとっては「なんて厳しい世界なのだ」と憂鬱になる内容でした。
会社で音声機器など一式を用意され「これでもう健常者と同じことができるでしょう?(出来ないとは言わせない)」
健常者と同じく、パワポなどスキルアップしていくのが当たり前。
働いてお金をいただくということ自体、そもそもが厳しくて当たり前ではありますが。
その厳しさが「障害ゆえ」の厳しさというのは、それってバリアフリーなの?って個人的には思ってしまいました。

元々事務職だった方が、音声機器の扱いを学んで復職する…というなら良いことかも知れませんが。

事務職は私には絶対無理だし、絶対やりたくもないと思ってしまいました。
頑張っておられる方々には、本当に頭の下がる思いです。
並大抵で無い努力をされていることでしょう。

ブース

*今回は2度目ということで、昨年度ほどの「すごい!感動!神!」という感動や興奮はないので、それほど熱心には回りませんでした。
いくつか見せていただいたブースだけ、書きます。

ブース:(1)アイネット

福祉グッズ関連のブースは混んでいて近付けないことが多いのですが、運良く空いているタイミングに行けました。
拡大読書器「よみあげ名人」について、親切に教えていただけました。
他のイベントでも、丁寧に応対してくださったのを記憶しています。
頼もしく安心できそうだし、拡大読書器自体もとても魅力的だしで、次回拡大読書器を購入する時はこちらの「よみあげ名人」にしようと決めています。
数ある拡大読書器。どれだったか忘れてしまいそうなので、備忘録も兼ねてここに書いておきます。

ブース:(2)社会福祉法人 日本点字図書館 わくわく用具ショップ

昨年は凸シールを購入。
今年は杖を立てかける時に倒れないように支えてくれる、「おでかけピーターラビット」を購入しました。
良い大人が持つには可愛らしすぎるのですが、可愛らしすぎて理性を失いました。
バッグの中でスタンバイしている姿も可愛いです。
(後日別ページにレポートします)

ブース:(3)同行援護事業所otomo

一部「対応だりぃ〜」という感じの出展者もいる中、こちらのotomoさんは立ってブース外まで出て積極的に声掛けをされていました。
私はまだ同行支援(?)は受けられないのでおそらく利用出来ないのですが、利用者にとって便利でお得そうなサービスでした。
ありがたいことです。

ブース:(4)株式会社QDレーザ

網膜に微弱な光を直接投影することでデジタル映像を見る…
という、科学技術の最先端のようなすごい製品を開発している会社です。
夏のロービジョン機器展示会でも少し見せて頂き、今回もできれば体験したいと思っていたのですが、運良く空いている時に行くことが出来ました。
実物を装着させてもらえて、疑問にも分かりやすく丁寧に答えていただけました。
また、見え方などアンケートを取っているようで、「私はレアケースなので、参考にならないと思う」と答えたのですが、そういう少数派の見え方についても大切にされているようで、とても有り難く心強く感じました。
とにかく終始誠実に丁寧に応対していただけて、感謝しています。
来年の早いうちに販売となるようです。

ブース:(5)東海光学株式会社

遮光眼鏡ビューナルの東海光学さん。
昨年とても親切に対応してくださり、良い遮光眼鏡を購入することが出来ました。
その製品には今もとても満足でお気に入りなのですが、別の用途で遮光度(?)が異なる物も欲しくなり、相談させてもらいました。
今年も本当に親切に丁寧に応対していただけて、感謝しきりです。
眩しさで困ったり不快があったりする人は、相談されてみると良いと思います。

ブース:(6)NextVPU (Shanghai) Co.,Ltd.

事前にチェックしていた「視覚障害者の旅行を支援する世界初の両目眼鏡」というのが気になってブースに寄ったのですが、とても混んでいたのと応対してくださった方が日本語でなかったことに私が最初気づかず、このメガネについては見たり聞いたりすることが出来ませんでした。
が、”ロービジョンリーディングや紙幣の読み取りの識別を補助する – AngelEye Smart Reader”の方を試着させていただけました。
オーカムマイアイに似た感じで、メガネにライター大の機器が取り付けられており、そのメガネを掛けて印刷物を目の前にもってくると、耳元で音声で読み上げてくれるのです!
そしてそれが20万円程度の価格!
買えないけど…臨時収入があったら買いたい…
これを装着して、普通の本を購入して、ページを繰りつつ読む(聴く)ことを想像すると欲しくなってしまいます。

全体の感想

まず、視覚障害者のためのイベントなので、視覚障害者の一人として意見を言わせてもらっちゃいますが、各ブースの看板(なんて言えば良いんだ?)が[通路→テーブル→ブースの人々→背面の壁]の、「背面の壁」部分にしか無く、中心視野が欠けている私には単眼鏡を使っても見つけるのが大変でした。
手前(通路に面したテーブル)にも大きな表示があれば良いのに…と、とてもとても思いました。

また、何度か視覚障害者向けの展示会に参加して感じたことですが、ものすごくやる気がなく「面倒くさいなぁ、説明したくないなぁ」という態度が露わなブース担当者がいますが、正直なところ「その仕事、向いてないんじゃないの?」と思います。
障害者を一括りにして軽視している人の空気って、分かるものです。

はい、愚痴終わり。

去年と同様、ボランティアの皆様には感謝、感謝&感謝です。
一人一人が常に周囲に気を配り、適切に声を掛けてくださいました。
本当にありがとうございました。

とても多くの企業や団体が、「見えない不便さ」を改善するための技術やサービスを提供してくれていることに、本当に感謝しています。
視力を失っていくことは恐怖と絶望だらけですが、これらの技術やサービスは、その闇の中での光です。
「どうしても視覚障害を持つ人生を歩まなくてなならない」のだとしたら、それが今この時代で本当に良かったと思っています。

そして何より、こんな大きな素晴らしいイベントを計画・実行してくださった実行委員の皆様には、何度お礼を言っても足りません。
本当にありがとうございました!!

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