目の病気で少しずつ見えにくくなって、先に出来なくなったのはペディキュア(足のマニキュア)
でした。
その頃はまだ、夏には素足でサンダルやミュールを履いて、足の爪には必ずペディキュアを塗っていました。
だけど、どうやっても見えなくなり、それでも粘って爪の周りにマスキングのためにテープを貼って
から塗ったり、ラメのマニキュアを使ったりしていました。
(ラメだと塗り方が下手でも、多少ごまかせるので)
メガネやコンタクトレンズをしたり外したり、家で一番明るい場所で見たり、鏡を使ったり、
柔軟能力の限界の姿勢で挑んだりしたけれど、ついに何をどうしても無理になりました。
そしてサンダルも履けなくなりました。
その後に出来なくなったのが、足の爪切り。
ペディキュアは「諦めて塗らない」という選択肢もあるけれど、足の爪はそうも行きません。
考えうる限りの試行錯誤をしたけれど、どうやっても出来なくなりました。
皮膚まで挟んで痛いし、深い切り込みががくさん入ってしまうし、ノコギリの歯のようにひどいギザギザ
になってしまうしで、ストッキングやタイツはおろか、厚手の靴下でさえ引っ掛かって履けないほど
の爪になってしまったのでした。
痛いし出来ないし、悲しいし情けないしで、私が視覚障害が理由で初めて泣いたのは、この足の爪切り
でした。
その頃、視覚障害を持つ人を対象とした講習会を知り、出かけました。
まだ視覚障害の人と一人も知り合いがいなかった頃でした。
そこで出会った視覚障害の先輩に、足の爪切りのことを言ってみたのです。
そうしたら、
「足の爪なんか、目が見えてたころから、酔っ払って真っ暗な部屋の中で適当に切ってた」
とあっけらかんと言われました。
何かきっと良いアドバイスやアイディア、もしくは共感をもらえると思っていた私は拍子抜け。
そしてそれが良かったのでした。
それ以来私は、「慣れれば見なくても切れるようになるんだ!」と信じ、何度も何度も
泣きそうになりながら、手探りで爪を切る練習をしたのでした。
そして不器用な私でも、どうにか出来るようになりました。
ワイルドに手探り法で頑張るのも良いですが、他にも方法はありました。
具体的な内容については、
見えにくい目でも爪を切るいくつかの方法
で書いています。