タイトルにもあるように昔の話です。 今とはステロイドの使い方も異なると思うので、「そういう時代もあったのか」という感じで読んでください。 10代半ば、見え方に突然異変が出て、大学病を院受診したらすぐに入院することになりました。 目の注射に始まり、1度目のステロイド点滴&内服治療、他の治療もしたけれど、病気の勢いは衰えず。 2度目の別の種類のステロイドの治療が始まりました。 こちらの方が効果が強いのと同時に、副作用も強いもの。 私、この病気になるまでは肌だけは綺麗で、学校の派手目な女の子にも羨ましがられるほどのトラブルゼロの肌でした。 ニキビなんて1つも出来たことが無かった。 しかし、ステロイドの威力は半端なかったのです。 顔は瞼をのぞき、隙間なくニキビ。 首も背中も胸も、耳の後ろまでニキビ。 ポツポツとかじゃなくて、正常な肌の部分がゼロの、ぎっしり全面多重ニキビ。 上半身は瞼以外は肌の平らな部分なんて全く無くなりました。 それも白ニキビとかいう可愛げのある物ではなく、真っ赤で痛いニキビ。 ステロイドおなじみのムーンフェイスもばっちり出て、あまりの外見のひどさに、もう本当にシにたくなりました。 初夏に入院し、退院したのは秋。 仲の良い友達は時々お見舞いに来てくれたので変貌を知ってくれていたけど、学校に戻るのが怖かった。 当時もいじめ問題は当然ありましたが、ありがたいことにイジメてくる子や揶揄してくる子はいませんでした。 「副作用なんだ」ということを積極的に言っていたので、多くの人は理解してくれ、今考えると本当にその点は恵まれていたと思います。 もちろん「病気や薬で太るわけないじゃん!」と、私のムーンフェイスを自業自得で太ったと指摘してくる子はいましたが、意地悪とかでなく、友達同士の言い合いの範疇。 (入院前はガリガリのやせっぽっちだったのです) むしろ辛かったのは、病気前の私を知らない人たちとの出会いでした。 化粧品売り場などを親と見ていると、売り場のお姉さんは「うわぁ、どうしちゃったの?」と顔をしかめて訊いてくる。 印象に残っているのが、尋ねられて「薬の副作用で」と答えたら、「薬、やっちゃったんだ」と言われたこと。 いや、「やっちゃった」って何系の薬を想像したのか、お姉さんにとってのクスリって「やっちゃう」系の物なのかと(笑) 退院後も内服のステロイドは飲み続けていたせいもあるのか、ニキビは一向に良くなりませんでした。 漢方で有名な病院にも相談しに行ったけど(実際服用したけど)、ステロイドの威力が強すぎて太刀打ち出来ませんでした。 多感な年頃。 自分以外には見たこともない全面ニキビの顔と体を抱えたまま、高校に進むのは辛かったです。 落ち着いた生徒の多い高校だったので、馬鹿にしたりしてくる子はいなかったけど、皆の中では最初から私は「ひどいニキビ顔の少女」なわけで。 「本当は違うんだ、本来ならニキビなんて出来たことのない肌だったんだ」と言いたい気持ちでした。 とにかく重症のニキビだったので、残念ながらその後も長年、肌の回復はしませんでした。 一番跡が残っているのはこめかみ下の辺り、顔の側面です。 今ならピーリングだのレーザーだの化粧品だの、色々打つ手もありそうですが… 汚い肌で自信が持てず、高校生時代は内向的な生徒として過ごしてしまいました。 その後は本来の自分を取り戻して生きていましたが、たまに「肌の汚さに引いてるんだろうな」と思う初対面の男性にも出会いました。 まあ、肌がきれい=健康なわけで、異性選びに本能的に健康を求めるのは当たり前のこと。 私は実際やっかいな病気持ちなわけだし、そういう人とは合わないから仕方ないよね…と割り切れましたが。 でも、病気をしていなかったら… ニキビが出来なかったら… 肌のことで悩み続けたあの時間と心の辛さが無かったら、もっと素直に明るく自信を持って過ごせていただろう若かりし日々に思いを馳せると、やはり切ないです。

コメント