見えにくさの対処法まめちら
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私が白杖を持つようになったタイミング

その他:個人的な話

十代で炎症性の目の病気を発症し、重症だったにも関わらず、医師も驚くほどの回復を遂げました。
しかし30才過ぎに再発してからは、それはもう緩慢に徐々にダラダラと、少しずつ悪化して行きました。
過去の回復体験から、治る希望をなかなか手放せず、悪化もあまりにも緩慢だったし、治療も継続していたので、視覚障害者になったことを受け入れる区切りのタイミングというものが、私にはありませんでした。
そんな私が、いつからどのように白杖を持つことになったのかを書こうと思います。

もくじ
  • 白杖を持つ前
  • 白杖を考え始めた頃
  • 試した白杖たち
  • 白杖を使い始めてから
  • 白杖の入手
  • 最後に
  • 白杖を持つ前

    再発してからしばらくは、文字が見えにくいとか顔が見えにくい、足の爪が切れない程度の不自由さでしたが、そのうち外出時も色々と不便を感じるようになりました。
    例えば、

  • 階段(とくに下り)で足元が見えにくく、危ないので手すりを使いたいのだが、若く元気そうに見えるので、昇ってきた人に譲らねばならず、そのために横にずれる時などがとても怖くて危険
  • だから駅のエレベーターを使おうとすると、「若くて健康なのに非常識な」と白い目で見られる(気がする)
  • 段差のある通路などで、その段差が見えないので、すり足で慎重に歩いていたら、後ろから舌打ちをされてわざとぶつかるように隣をすり抜けられたり。
  • 電車の急な運行中止で迂回を余儀なくされた時、乗り場などが分からなくて隅に寄って単眼鏡で探していたら舌打ちされたり。
  • 単眼鏡で見ているのを、撮影と思われて注意されたり。
  • 挙げたら愚痴だけでページが埋まってしまいそうなので、この程度にしておきますが、けっこう小さな不都合が起きるようになっていたのです。
    見えないことや病気の不安だけでも辛いのに、こういう事ごとでさらなるダメージ!

    しかも何しろ徐々に見えにくくなったので、変に色々器用になっていたから、どんなに不便で困っても転んでも泣きそうになっても、最終的には無事に家に帰って来れるんですよ。
    頑張れば、我慢すれば、一日を無事に終えることが出来た。

    また、大学病院は治療をする場なので、障害者認定などの話なんか一切されないし。
    当時は「先生が何も言わないのだから、治る可能性があるのだろう。まだ障害者認定は必要ないのだろう」と思ってもいたし。
    (結局、障害者申請の話は私の方からしました)

    だから本当にタイミングがありませんでした。

    白杖を考え始めた頃

    少し遡りますが、白杖利用を真剣に検討するより前のこと。
    何かの視覚障害者向けイベントで、某点字図書館のブースで白杖を見せてもらおうとしたら、
    「あなたみたいに見える人は必要ないでしょ。どうしても持ちたいならシンボルケーンで十分」
    というようなことを言われました。
    (注:その後に出会った某点字図書館の方々は皆さん良い方ばかりです)

    当時すでに色々と見えなくなって不自由だったのに、たった2,3秒見ただけで「あなたみたいに見える人」と決めつけられたのは悔しかったなぁ(苦笑)
    私の苦労と努力と、不安と涙とを何も知らないで、なぜ断言するの?って。
    まあ、もしかしたら、私が弱点など見当たらない完全体スペシャルBODYだという褒め言葉だったのかも知れませんけどね(笑)
    中心視野欠損で、周辺視野はまだ保たれていた当時は、たしかに他人からは「見えないようには見えない」状態だったと思います。
    ただ、この件があって、私なんかが白杖を持ってはいけないんだという思いが小さく根付いていました。

    そして何より「シンボルケーンで十分」という言葉に、今の私は異議を唱えたいのですが、それについては下で書きます。

    さてさて、過去のそんな出来事と、自己否定的な面のある性格とにより、
    「健常者に比べたらずっと見えないし色々不自由しているけど、全盲の人に比べたらまだまだたくさん見える。
    こんな状態で白杖を持つなんて、甘えなのでは、許されないのでは」
    と私は思っていました。

    でもそんな迷いに言葉をくれたのが、ネットで知り合った白杖ユーザーの人たちでした。
    誰も「甘え」などと言わず、安全のために持つことを勧めてくれました。

    また、これも教えてもらったことですが、道路交通法で
    目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。
    というのが定められているのですね。
    「目が見えない者に準ずる者を含む」って、ちゃんと書いてある!

    法律で定められているのならば、堂々と持って良いんじゃん!
    っていうかむしろ持っていないと、事故に遭った時に逆にマズいのでは?
    …と思うようになり、ついに白杖を持つことに決めました。

    試した白杖たち

    超シンプルなシンボルケーン

    決心したにも関わらず、「私なんかが」が抜けない私は、遠慮深く一番シンプルで一番お安い白杖を注文しました。
    これが、本当にシンボルケーンでして、「目が悪いです〜」というお知らせをする役目は果たしてくれましたが、実際に道路に突いて歩くには適しませんでした。
    石突などもないので道路上を滑らせることも出来ないし、コツコツと軽く突いてみたら、腕に返ってくる反動の衝撃が強くて嫌な感じで…

    独断ですが、ああいうのは多分一緒に歩いてガイドしてくれる同行者がいる時に、シンボルケーン的に持つものかなと思いました。
    なにしろシンプルで出っ張りもないので、嵩張らないという点ではダントツ一番でしたけどね。

    先人たちのアドバイスで選んだ白杖

    「初めての白杖だからこそ、しっかりした造りのものを」とアドバイスしてくれたのが、ネットで知り合った白杖ユーザーの方々でした。
    長さの目安や、当時たぶん最良だったローラーチップ(杖先に動く石突をつける)ことなどを教えてもらいました。
    こちらは某点字図書館に出向き、2本ばかり長さを試させてもらって、その場でローラーチップをつけてもらいました。
    長めの丈に、頑丈な造り。先端は道路に引っかからないローラーチップ。
    初代のシンボルケーンとは比べ物にならない安定感、安心感でした。
    見えにくさをこの杖が補ってくれる。守ってくれる。
    こんなにも頼もしく思えるものかと驚きました。
    これで外出の恐怖が緩和されたと言っても、言い過ぎではありません。

    この杖は今でも、慣れない場所や遠いところに出掛けるときに使う、一番頼れる白杖です。

    近所用

    上記の白杖はとても良いのですが、しっかりしている分、折り畳んでもかなり嵩張るのです。
    そして私は荷物を極力コンパクトにしたい派です。
    そんなわけで、もう少し嵩張らない白杖も欲しくなりました。

    行き慣れた場所や近所用なら、長さが少し短くても平気かな…と思い、上記白杖より少し短く、石突きもスリム、杖自体もちょっぴりスリムなものを選びました。
    コンパクトだけれど、かなりしっかりしたタイプなので、慣れた場所では普通に安心して使えています。

    もっと小さくしてみたかった

    視覚障害になってから余計な荷物が増えましたが、私は小さなバッグが大好きです。
    「可愛い〜欲しい!」と思うバッグが、どれもこれも小さいのだ。
    というわけで、さらにコンパクトな白杖を買ってみたのです。
    石突付きだし、素材やグリップも、上記の愛用白杖と同じっぽいものを。
    これが、初代シンボルケーンとは比べものにならないくらいしっかりちゃんとしているのですが、やはり華奢で、さすがにちょっと心許ない感じ。
    家から遠い場所に行くときに使うには、少し不安が出てきてしまう華奢さでした。
    なのでこれは、本当の近所オンリー用か、災害避難袋に入れておくかのどちらかだなと思っています。

    白杖を使い始めてから

    私が購入したのは、どれも折りたたみ杖。
    袋を作ってバッグに入れたは良いけれど、最初の頃はそれを取り出して広げるには、少し勇気が要りました。
    でも別に誰も注目したり何か言ってきたりするわけでもなく、自意識過剰なだけでした。

    自己流の使い方だったけれど、段差や階段の開始と終わり、縁石などを杖先で探り当てて、躓いたり転んだりするのをかなり防げるようになりました。
    白杖を持っていれば、ルーペや単眼鏡も堂々と使えます。
    白杖を持っていなかった当時は、電車の運行中止で突然迂回せねばならなかった時など、駅の人にルートや乗り場を聞いても、その返答は当然ながら「見えている前提で」語られ、どっちに行けば良いのか分からず、時にホームから脱出する階段すら見つからず、途方に暮れて泣きたくなったものでした。
    ところが今はどうでしょう。
    視覚障害者の転落事故を防ぐためか、大きな駅では駅の方が丁寧な声がけをしてきて、乗り場まで案内してくれるほどです。申し訳ないくらいです。

    階段の手すりも、まだまだ譲る機会も多いですが、前よりは堂々と使えるようになりました。
    行先が分からなくてうろいろ迷っていても、たぶん不審者には見られなくなっただろうし、時に親切な方が声をかけてくれることもあります。(本当にありがたいです)

    以前はさりげなくコッソリ頼りにしていた点字ブロックも、混んでいなければ堂々と使えるようになりました。
    道が混んでいる時は、スマホ歩きの人に舌打ちされたりするので要注意ですが。

    白杖を使うようになってから、白杖1本分の荷物が増えてしまったこと以外は、メリットしかありません。
    あ、あと白杖を入れる袋をどうにか用意せねばならない点も、ちょっとだけ手間ですが。

    白杖の入手

    白杖は「補装具」として認定されているので、視覚障害者認定を受けた人が市役所の福祉課に申請をすると支給されるようです。
    「ようです」と書いた通り、私はこの手段は使っておらず、すべて自費で自由に購入しました。

    というのも私の場合、障害者手帳の申請と共に拡大読書器と単眼鏡の補助をお願いしたのですが、福祉課の職員の対応が
    「文字が見えないなら家族に読んでもらって」
    だとか
    「そんな理由じゃ申請は通らないよ」
    だとか言われ、福祉課に対して不信感100%になったので、あそこにはもう2度と近づくまいと思ったからです。

    というわけで、役所を通して支給してもらうことも、完全自由で好きなように購入することも出来ます。
    Amazonや楽天でも売っていますが、私は
    ・日本視覚障害者団体連合のホームページから注文
    ・日本点字図書館のホームページから注文
    ・視覚障害者イベントの、日本点字図書館ブースで購入
    という方法で購入しました。

    実際の白杖ユーザーによる「お勧めポイント」は、けっこう共通点があるだろうとは思いますが、感覚には個人差もあるもの。
    複数の人に勧められた”長め”というポイントは、確かに安定感の上では最強でしたが、腕の筋力が異様に無い私にとっては、腕をその高さに上げて使い続けることは体力的にしんどい、という発見がありました。
    様々な意見に耳を傾けつつ、最終的には自分にとっての最良を見つけるのが良いのではと思います。

    最後に

    「シンボルケーンで十分」というのは、どういう人に当てはまるのか、今も私には分かりません。
    白杖の利用を考え始めた時って、実際に外出時に不都合や危険が発生しているレベルだと思うのです。
    その状態で、目印になるだけの杖を持っても、自分の身を自分で守ることは出来ないように思います。
    まあ、見え方・見えにくさは人それぞれなので、視野の欠け方などによって状況は全然異なるだろうから、これは私の誤解かも知れませんが。

    もし外出に不安や危険が生じていて、白杖の利用を考えている人がいるなら、是非利用して欲しいと思います。
    自分でやらないと、誰も「持ちなさい」とは言ってくれません(笑)
    自分の身を守るだけでなく、他人を事故に巻き込まない、他人を加害者にしてしまわない、というためでもあると思います。
    部分的に不都合があるなら、部分的に使えば良いですし。
    (仕舞っている時間の方が多いなら、4つ折りか5つ折りか等、たたんだ時のサイズも考慮して選ぶと良いと思います)

    まあ、白杖を持っているからこその嫌な目に遭ったことはあります。
    全盲だと思われて、あり得ないほどの至近距離で目を覗き込まれたり、絡まれたり、行列の割り込みをされたり。
    でも白女を持つようになって助かったことに比べたら、そんなのは100分の1くらいのデメリットでしかありません。

    見えにくくて危ないのなら、見えにくくて外出が出来なくなってきたのなら、白杖を使うことを前向きに検討して欲しいです。

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